紅蓮の炎は心を壊す
毎日外で畑を耕して働いているため、紅葉の肌はほんのりと黒く焼けており、体には仕事中に負った傷がたくさんある。ごく普通の少女の体にしては傷があまりにも多すぎるが、それは仕方がないのだ。

「ただいま」

小さな荒屋の壊れかけの扉を開ける。扉の向こうには、古びた囲炉裏と古びた布団が一枚あるだけで、紅葉以外誰もいない。

紅葉の両親は、二年前に流行り病が原因で命を落とし、紅葉はその日から一人で生きている。だが、近隣住民の助けもあり、今日まで生きている。

綺麗な着物は一枚もなく、髪につける髪飾りも、口に塗る紅も、何もない。いつもボロボロの着物を見に纏い、体は薄汚れている。だが、生きているだけでも幸せなのだ。わがままは言えない。

「さて、ご飯を作らないと……」

紅葉は立ち上がり、鍋を囲炉裏に準備する。これからお粥を作るためだ。お粥と言っても、裕福ではない紅葉が食べられるのは白いお米ではなく麦だ。麦も食べられない時には、水を飲んで空腹を誤魔化している。

「あっ、しまった」
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