紅蓮の炎は心を壊す
夜になった山は、昼間とは比べ物にならないほど危険だ。そこへ人が迷い込んでいるのならば、放っておくことはできない。
「お〜い、誰かいないのかよ!ちくしょう、あの老いぼれ!俺が元に戻ったら真っ先に消し炭にしてやるからな!」
声は、若い男性のように思える。暗い山の中だというのに、声のした方は何故か明るい。不思議に思いながら紅葉が近付いていくと、そこには巨大な楠木があった。そして、その真下には赤々とした火が燃えている。
「えっ、火事!?」
火を消せるようなものがないか紅葉が焦って辺りを見回すと、「お前、俺が見えんのか?」と炎が話しかけてくる。それに紅葉はひどく驚き、戸惑った。まるで夢のような出来事である。
「えっと、見えてます。炎が燃えてます」
「おお!神以外で俺のこと見える奴って本当にいるんだな。すげぇ嬉しいわ」
炎に、黒曜石を思わせる漆黒の瞳と大きな口が現れ、炎は目を輝かせながら嬉しそうに笑っている。炎の勢いが増し、その熱が頬に伝わった瞬間に、紅葉は目の前の出来事が現実なのだと受け入れることができた。
「お〜い、誰かいないのかよ!ちくしょう、あの老いぼれ!俺が元に戻ったら真っ先に消し炭にしてやるからな!」
声は、若い男性のように思える。暗い山の中だというのに、声のした方は何故か明るい。不思議に思いながら紅葉が近付いていくと、そこには巨大な楠木があった。そして、その真下には赤々とした火が燃えている。
「えっ、火事!?」
火を消せるようなものがないか紅葉が焦って辺りを見回すと、「お前、俺が見えんのか?」と炎が話しかけてくる。それに紅葉はひどく驚き、戸惑った。まるで夢のような出来事である。
「えっと、見えてます。炎が燃えてます」
「おお!神以外で俺のこと見える奴って本当にいるんだな。すげぇ嬉しいわ」
炎に、黒曜石を思わせる漆黒の瞳と大きな口が現れ、炎は目を輝かせながら嬉しそうに笑っている。炎の勢いが増し、その熱が頬に伝わった瞬間に、紅葉は目の前の出来事が現実なのだと受け入れることができた。