見た目九割~冴えない遠藤さんに夢中です~
自販機にお金を入れていると、聞き覚えのある声が愛美の耳に入ってきた。
「佐々木、どうした? 浮かない顔して」
声の主は遠藤だった。
「遠藤さん……俺、仕事辞めようかと思ってて……」
後輩の佐々木が深刻そうな話を始めたので、愛美はその場から動けなくなっていた。
「え? 何でだよ! だってお前結婚したばっかで、もうすぐ子供も生まれるって……」
「そうなんですけど……俺、前にでかいミスしてから、何かびびっちゃって、なかなか思うように仕事出来なくなってて……」
「そうか……話してくれて良かったよ。ごめんな、全然気付いてやれなくて……。お前は今まで通り、自分の思うようにやってみればいい。心配しなくていいから」
「でも……」
「ミスしたら謝って挽回すればいいだけだ。俺がお前の尻拭いしてやるから、もう一回頑張ってみろよ」
「……」
「バ、バカ! 何泣いてんだよ。行くぞ」
遠藤の思いがけない男らしい一面を知った愛美は、去っていく後ろ姿を見つめてしばらく呆然と立ち尽くした。
その日愛美は、仕事が手につかなくなる程に遠藤のことを考えていた。そして、遠藤のことをもっと知りたいと思った。
明日昼休みに遠藤に話し掛けてみようか、と考えたが、明日も明後日も会社が休みだということに気付いて、至極がっかりした。
日曜日、愛美は博子をランチに誘った。
先に店に到着して席に着いていた愛美の元に、店員に案内されて博子がやって来た。
『今日のおすすめランチ』を二つ注文すると「しばらくお待ちください」と言って店員が去った。
「遠藤さんのことだよね」
博子が唐突に言った。
「……え、何でわかったの?」
「そんな目をしてたから」
博子はニヤニヤしながら言った。
「遠藤さんは絶対いい人だよ。先輩からは可愛がられてるし、後輩からはすごい慕われてるしね。女子社員からの人気は……まあ見た目が微妙だから」
そうはっきりと言ってから、博子はクスッと笑った。
「人は見た目で判断しちゃ駄目だと思うけど、結局人は見た目が九割なんだよね」
渋い表情をして博子はそう言ったが、確かにそうだ、と愛美も思った。
「佐々木、どうした? 浮かない顔して」
声の主は遠藤だった。
「遠藤さん……俺、仕事辞めようかと思ってて……」
後輩の佐々木が深刻そうな話を始めたので、愛美はその場から動けなくなっていた。
「え? 何でだよ! だってお前結婚したばっかで、もうすぐ子供も生まれるって……」
「そうなんですけど……俺、前にでかいミスしてから、何かびびっちゃって、なかなか思うように仕事出来なくなってて……」
「そうか……話してくれて良かったよ。ごめんな、全然気付いてやれなくて……。お前は今まで通り、自分の思うようにやってみればいい。心配しなくていいから」
「でも……」
「ミスしたら謝って挽回すればいいだけだ。俺がお前の尻拭いしてやるから、もう一回頑張ってみろよ」
「……」
「バ、バカ! 何泣いてんだよ。行くぞ」
遠藤の思いがけない男らしい一面を知った愛美は、去っていく後ろ姿を見つめてしばらく呆然と立ち尽くした。
その日愛美は、仕事が手につかなくなる程に遠藤のことを考えていた。そして、遠藤のことをもっと知りたいと思った。
明日昼休みに遠藤に話し掛けてみようか、と考えたが、明日も明後日も会社が休みだということに気付いて、至極がっかりした。
日曜日、愛美は博子をランチに誘った。
先に店に到着して席に着いていた愛美の元に、店員に案内されて博子がやって来た。
『今日のおすすめランチ』を二つ注文すると「しばらくお待ちください」と言って店員が去った。
「遠藤さんのことだよね」
博子が唐突に言った。
「……え、何でわかったの?」
「そんな目をしてたから」
博子はニヤニヤしながら言った。
「遠藤さんは絶対いい人だよ。先輩からは可愛がられてるし、後輩からはすごい慕われてるしね。女子社員からの人気は……まあ見た目が微妙だから」
そうはっきりと言ってから、博子はクスッと笑った。
「人は見た目で判断しちゃ駄目だと思うけど、結局人は見た目が九割なんだよね」
渋い表情をして博子はそう言ったが、確かにそうだ、と愛美も思った。