見た目九割~冴えない遠藤さんに夢中です~
今日も遠藤は足止めを食っていた。
「遠藤さん、今日仕事終わりご飯行きませんか?」
「あ、いや……いいよ」
「じゃあ明日は?」
「明日も無理かな」
愛美は聞き耳を立てていた。
「遠藤さ~ぁん、来週コンパしましょうよぉ!」
「俺、そういうの好きじゃないからいいよ」
遠藤は全ての誘いを見事に断って愛美の元へやってきた。
「愛美ちゃん、お疲れ」
「……お疲れ様です」
「どうした? 何かあった?」
遠藤に聞かれて「え? 何でですか?」と聞き返すと、遠藤は椅子に腰を下ろしてから言った。
「今日何か声に元気ないから」
「そんなことないですよ」
と返したが、愛美の心の中は靄がかかっていた。
「プリン食べたら元気になる?」
遠藤が真剣にそんなことを言うものだから、おかしくて吹き出した。
「愛美ちゃん、お疲れ」
会社を出ると、見慣れない遠藤が立っていて驚いた。
『雑誌の中から飛び出したような』とはこのことだと思った。
数日前にネットで購入したと言っていた服だと一目でわかった。
けれどもそれは、遠藤にとてもよく似合っていた。
また一緒に駅に向かって歩いていたが、遠藤はしばらくひと言も喋らず、何となく気まずい空気が漂っていた。
駅に近付くと遠藤が口を開いた。
「あのさぁ……」
「ん?」
「何か言ってよ……」
「え?」
愛美は戸惑った。
「これ、この前買った服なんだけど……」
「ああ……! うん、すごく似合ってますよ」
「本当?」
「はい」
愛美は笑顔を見せた。
「これだったら、俺と一緒に歩いてくれる?」
何のことを言っているのか、わからなかった。
「愛美ちゃん、明日は何か予定ある?」
明日は土曜日だった。
「いえ、特に何も……」
「食事に誘ったら迷惑かな?」
遠藤がためらいがちに言った。
「え? あ、いえ……全然……」
愛美の胸は高鳴った。
「愛美ちゃんの最寄り駅は何処?」
「F駅です」
「じゃあ、五時にF駅で待ってる」
「はい、わかりました」
約束をして別れた。
デートという認識でいいのだろうか。
その夜、明日は何を着ていこうか、と愛美はクローゼットを開け心を踊らせていた。
「遠藤さん、今日仕事終わりご飯行きませんか?」
「あ、いや……いいよ」
「じゃあ明日は?」
「明日も無理かな」
愛美は聞き耳を立てていた。
「遠藤さ~ぁん、来週コンパしましょうよぉ!」
「俺、そういうの好きじゃないからいいよ」
遠藤は全ての誘いを見事に断って愛美の元へやってきた。
「愛美ちゃん、お疲れ」
「……お疲れ様です」
「どうした? 何かあった?」
遠藤に聞かれて「え? 何でですか?」と聞き返すと、遠藤は椅子に腰を下ろしてから言った。
「今日何か声に元気ないから」
「そんなことないですよ」
と返したが、愛美の心の中は靄がかかっていた。
「プリン食べたら元気になる?」
遠藤が真剣にそんなことを言うものだから、おかしくて吹き出した。
「愛美ちゃん、お疲れ」
会社を出ると、見慣れない遠藤が立っていて驚いた。
『雑誌の中から飛び出したような』とはこのことだと思った。
数日前にネットで購入したと言っていた服だと一目でわかった。
けれどもそれは、遠藤にとてもよく似合っていた。
また一緒に駅に向かって歩いていたが、遠藤はしばらくひと言も喋らず、何となく気まずい空気が漂っていた。
駅に近付くと遠藤が口を開いた。
「あのさぁ……」
「ん?」
「何か言ってよ……」
「え?」
愛美は戸惑った。
「これ、この前買った服なんだけど……」
「ああ……! うん、すごく似合ってますよ」
「本当?」
「はい」
愛美は笑顔を見せた。
「これだったら、俺と一緒に歩いてくれる?」
何のことを言っているのか、わからなかった。
「愛美ちゃん、明日は何か予定ある?」
明日は土曜日だった。
「いえ、特に何も……」
「食事に誘ったら迷惑かな?」
遠藤がためらいがちに言った。
「え? あ、いえ……全然……」
愛美の胸は高鳴った。
「愛美ちゃんの最寄り駅は何処?」
「F駅です」
「じゃあ、五時にF駅で待ってる」
「はい、わかりました」
約束をして別れた。
デートという認識でいいのだろうか。
その夜、明日は何を着ていこうか、と愛美はクローゼットを開け心を踊らせていた。