ブルー・ロマン・アイロニー
アンドロイドは食べ物から栄養を摂る必要はない。
だけど、ノアは趣味として食事を楽しんでいる節があった。
すでにわたしよりもいろんなものを食べているかもしれない。
アンドロイドにものを食べさせることは食費の無駄だという人も多いし、わたしも同意見だった。
お金には困っていないとはいえ、アンドロイドに食事をさせるメリットはないし、自分よりもたくさん食べるノアに最初こそ不満を抱いていた。
けれど、食べているときのノアは本当に幸せそうで、なによりもおいしそうに食べるから。
いつしかわたしはノアが食べる姿を観察することが楽しみとなっていた。
これでWin-Winだ、と少し、いやかなり強引に理由を付けて、わたしはノアとの食事を当たり前にしていった。