ブルー・ロマン・アイロニー
「あいつら一発殴るか?」
「やめて……というかできないでしょ」
ふたりが隣のクラスに入ったことをなんとなく見届けてから、気を取り直してわたしも自分の教室に入ることにした。
去年のクラスにはナナちゃんと瑠衣ちゃんがいた。
実質トップだったふたりがそこまで騒がしくなく、クラス全体も落ち着いた雰囲気だったけれど、今年のクラスはどうやら活発的らしい。
偶然かそうじゃないのか、学校でも目立つような人たちが集まっている。
クラスの8割が知らない人だった。
顔だけは見たことある人や、名前だけを知っている人もいた。
わたしが教室に入ったとき、たしかに時が止まったと思う。
一瞬だったけれど、それまでの空気とは違い、冬の朝のようにぴんと張りつめたのを感じた。
え、と戸惑ったのもつかの間、すぐに教室内の空気が戻った。
すでにグループを作っている人、新しく友だちを作ろうとしている人、さまざまだ。
さっきのはなんだったんだろう。
なにか嫌な予感がしながらもわたしは黒板に貼られている座席表を確認した。
わたしの席は真ん中の列のいちばん後ろだったので、ちょっとだけ得した気分になる。
さっそく席について、どきどきしながら前の女の子に話しかけることにした。