ブルー・ロマン・アイロニー
No one Like you



転校生がやってきた。

それもこのクラスに来るのだとわかったのは、当日の朝だった。


もう5月になっていた。

1ヶ月同じ空間で過ごして、わたしが噂のような性格じゃないことをわかってくれたのか、遠巻きに見られることはなくなって。

親しい友だちこそできないものの、必要最低限の会話を交わすクラスメイトは何人かできた。


そうしてわたしは、もしかしてひとりでいるほうが自然体でいられるのではないかということに気付いた。

自分が集団行動に向いていないというのには多少なりともショックは受けたけれど、そこまで引きずりはしなかった。


だからひとりで行動することが多くなったわたしに、こんな中途半端な時期に転校生がやってくると教えてくれたのは担任の先生だった。


朝のSHR。

いつもなら怠そうに諸連絡をするところを、どうやら転校生の紹介を先に済ませるらしく。

というかこの先生、本当にいつも怠そうにしてるな。わたしよりも目の下の隈がひどい。



「おーい、入ってきていいぞー」


間延びした声かけから数秒、少し遅れて教室の扉がひらいて。


入ってきた人物に、クラスがざわついた。

それはまるで予期せぬ事態が起こったときのようなざわめきだった。


わたしも目をぱちくりさせる。


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