ブルー・ロマン・アイロニー


「ん……」


いつの間にか眠ってしまっていたらしい。

机に突っ伏していたわたしは、お尻や首がいたむのを感じながらゆっくりと顔をあげた。


窓の外では変わらず雨雲が世界を支配していた。

それどことかさっきよりも鋭い雨が、だしだしと地上に降りそそいでいる。

どうやらわたしの判断は間違えたらしい。


こんなことなら早く帰っていればよかったなと思いながら。

ふと、いままで教室の景色の一部として溶けこんでいたその存在に気付いた。




「びっっっっ、っくりしたぁ……!!」


何!?こわい!!


わたしの目の前にルーカスくんがいる!

雨が創り出した幻かと思ってごしごし目をこするけれど、やっぱりそこにはルーカスくんが座っていて。



「あの、そこで一体なにをして……?」

「見てた」


なにを?

主語を言ってほしい。


どうやらルーカスくんも用事があって学校に残っていたらしく、教室に戻ってみるとわたしがひとりで机に突っ伏していたので起きるのを待っていたのだとか。


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