ブルー・ロマン・アイロニー



「あんた、ナナになにしたわけ?」


それから数日後、わたしを引き留めたのは瑠衣ちゃんだった。

またかよ、と呆れたようにつぶやくノアの横でわたしも振りかえる。

恨めしそうに吊り上がった猫目がいまにも射貫かんばかりにわたしだけを睨みつけていた。



「ナナはあんなこと言う子じゃなかった。アンドロイドがどうとか、本気で好きだとか、全部あんたが吹きこんだんでしょ」


そっか、ナナちゃんは瑠衣ちゃんに打ち明けられたんだね。

噂伝いじゃなくて自分から話すことに、どれほどの勇気がいっただろう。

わたしは静かに口をひらく。



「……違う。それはナナちゃんの本心だよ」


ナナの本心?と瑠衣ちゃんが心底可笑しそうに笑い飛ばした。



「バカ言わないでよ!ナナがそんなこと思うわけない」


瑠衣ちゃんは続ける。



「アンドロイドを本気で好きになるなんて、どう考えても可笑しいでしょ!」


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