ブルー・ロマン・アイロニー
と、そんなことを思っていたとき。机の上に置いてあったスマホが震えた。メッセージだ。いまやりとりをしている相手なんてそう多くない、だからきっと。
はやる気持ちを抑えてスマホを手に取ったわたしは、そこに表示されている名前にあらためて笑みがこぼれてしまう。その内容だって、わたしの心をこんなにも浮き立たせる。
「以前、一緒に出かけようと約束をしたこと。とうとう明日、約束が叶うのだと思うと胸がぎゅっと締めつけられるような気持ちになったあまりだった──」
「ちょっと!勝手にモノローグつけないでよ!」
「彼の気持ちはもうわかってる。あとは、そう。わたしが自分の心の正直になるだけ──」
「ちょ、なっ、の、~~っ、ノア!!」
「わはは、照れてやんの~」
ベッドから起きあがってソファの上に寝ているノアに殴りかかる。
避けるまでもないと思ったのかニヤニヤしながらよく回る舌にわたしは何度も赤くなる。
わたしとノアの攻防はなんども攻守が入れ替わり、隣から壁ドンをされるまでそれは続いた。