ブルー・ロマン・アイロニー
「ルーカスくん、わたしはっ……」
そのとき、ピ────、とそれまでとは違う音がして。
アラームが止んだ。
「っ、わたしは……、」
あまり、と最後に彼がつぶやいた気がした。
いままでずっと、あんた呼びだった。
いつかわたしの名前を呼んでくれることを夢見ていた。
「わたし、は……」
やっぱり期待なんかしなければよかったんだ。
こうしてわたしはまた、裏切られてしまった。
ルーカスくんのバカ、バカ、……バカ。
「……わたし、」
どうしてくれるの、わたし、期待しちゃったじゃん。
いっぱい期待しちゃったじゃん。
それなのに置いていくなんてあんまりだよ。
ねえ、
「わたしも……すき、だったよ……っ」
わたしの腕のなかで目を閉じるルーカスくんは微笑んでいた。まるで眠っているようだった。
「……泣かせるなって、あれほど言ったのに」
後ろからノアの声がする。
「なあ、あまり」
肩にそっと手を置かれた。
「リルは……ルーカスは。プログラムを超えて、お前のことを想ったんだよ」
静寂に包まれる辺りにはいつまでも、いつまでもわたしの嗚咽だけが響いていた。