ブルー・ロマン・アイロニー
「……ノアはやっぱり、実験用のアンドロイドだったんですか?」
すると今度は打って変わって驚いたような顔をされた。
「まさか、きみ、1年も一緒にいて気付かなかったのか?」
「気付く、って……」
とっさにノアを見るけれど、申し訳なさそうに目を逸らされる。
「少しも違和感はなかったか?不思議に思うことはなかったか?
なぜ、自分の考えていることがわかるのだろう。
そう思ったことは一度もなかったか?」
うそ、でしょ。もしかして……
「ここまで言ったらもうわかるだろう?」
顔をあげないノアを取り囲む研究者たちは皆、笑顔だった。
まるで自分たちの研究の成果を誇るように、ノアの肩に手を置いたんだ。
「この個体には────読心術が備わっている」