ブルー・ロマン・アイロニー
「ま、って……待ってください!」
あと少し遅ければ車に乗せられているところだった。
わたしは、息を弾ませながら研究員の人たちの前に立つ。
ノアが驚いたように顔をあげた。
「なんだきみ、まだ何か用が──」
「ノアを連れていかないでください……お願いします」
きみねえ、と呆れたように息を吐き出される。
「我々の研究にはこれが必要なんだよ。きみは私たちよりも有効に、そして世界の発展のためにこれを活用できるのか?できないだろう。たかが小娘が知ったような口を利くんじゃない」
そのときだった。
ずっと黙っていたノアが、はっ、と笑ったのは。
「お前らもどの口が言ってやがんだ。研究?笑わせんな……お前らが俺を世界の発展のために使ったことなんか一度もねえじゃねえか」