ブルー・ロマン・アイロニー
「なにするんですか!」
ノアに駆け寄ろうとしたけれど、研究員たちに行く手を阻まれた。
目の横を押さえながらノアはじろりと殴った男を睨む。
「なんだ、その目は?アンドロイドのくせに」
放たれたその言葉に、心臓がどくんと跳ねる。
「言っておくがお前は感情がわかるというだけで、お前自身には備わっていない。人間として生きることがどれだけ大変か、人の心がどれだけ複雑にできているか、一切わからないくせに」
目の端からじわじわと熱を帯びていく。
「お前は、アンドロイドは、一生人間に従って──」
「そんなことない!そんなことないっ……!」
わたしはノアに手を伸ばしながら叫んだ。
「アンドロイドにだって感情はある。それにっ、」
届いて、届いて、お願い。
わたしが1年かけて、知ったこと。
それは────
「アンドロイドは夢を見る!アンドロイドだって────明日に、夢を見るんです!!」