ブルー・ロマン・アイロニー
「見つけたぞ!捕まえろっ!その娘から引き剥がせ!!」
追いついた研究員たちが数人がかりでノアを無理やり立ちあがらせた。
わたしの肩にも引き離すように手が置かれる。
「おいッ!あまりに触んじゃねえ!!」
「やめて!ノアに乱暴しないでっ!!」
ノアに手を伸ばそうと身を乗り出す。
そのとき、足首にずきんと鋭い痛みが走った。
「ッ、いた……っ」
思わず足元を見ると、そこはひどく腫れあがっていた。
わたしが転けたりしなかったら。
ううん、ノアの言うように普段からもっと運動をしていれば、こんなことには──
自己嫌悪ばかりがわたしの頭を駆け巡って、ぼろぼろと涙が零れる。
「待て、あいつを病院に」
「案ずるな。こちらで手配する」
「……その言葉、信用してもいいんだろうな?」
「言葉を信用せんでも、お前には心を読む術があるだろう。わざわざ嘘はつかん。……お前がついてくることを抵抗すればするほど、あの子がどうなるかも、な」
「……わーったよ」
ノアたちの会話の意味がわからなかった。
なにを言っているのか、わからなかった。
……わかりたくなかった。