ブルー・ロマン・アイロニー


わたしが、さっき確認したのはそれだった。

あのアンドロイドには見たところなんの数字も刻まれていなかった。


正直、ほっとした。

実験用アンドロイドなんてどう扱ったらいいかわからないから。


でも、だとしたら。

このアンドロイドは……愛玩?

いやいや、絶対にナイ。


あ、でも惣菜屋さんがアンドロイドのこと男前だって言ってたな。


ぎしりとベッドのスプリングが鳴ったのはわたしが体勢を変えたから。

薄暗がりのなか、ぼんやりと浮かび上がる人影に目を凝らす。



「……これが、男前?」


少なくともわたしのタイプの顔ではなかった。

どっちにせよ、最悪の誕生日プレゼントだ。


そう、わたしは今日、16回目の誕生日だった。

おかしいな。ナナちゃんや瑠衣ちゃんには教えていたはずなのに。


伯母さんたちも、わたしが家にいたときは一応声をかけてくれていたのに。

ああでも、ひとり暮らしを初めて連絡を取り合ったことすらなかったな。

というかたぶん、勘当されたんだと思う。


< 46 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop