ブルー・ロマン・アイロニー
所詮、こんなもんなんだ。わたしの人生。
誰からも必要とされなくて、生まれてきたことを祝われなくて。
ここまでして生きている自分を褒めたいくらいだった。
「あーあ」
もう一度、あーあ、とつぶやく。
しっとりとした空間にわたしの乾いた声が吸いこまれていった。
「わたしにもスリープモードがあったらよかったのに」
そうしたら、なにか嫌なことがあっても、悲しい夜が来たとしても、気にせずにぐうすか寝られたんだ。
ひとりぼっちで起きておく夜ほど、長くて、心細いものはなかった。不眠症って最悪だ。
目をつぶる。瞼の裏にはなにも映らない。
どこまでも続く、果てのない闇。
いつまでたっても訪れない眠気を、そして夢を。
わたしは待ち続けることしかできない。
────アンドロイドは夢を見るのだろうか?