ブルー・ロマン・アイロニー


必死に弁解しているのはわたしだけ。アンドロイドはお気楽なものだった。

学校という場所が新鮮なのか、目を離すとすぐどこかに行ってしまう。


そのたびに悲鳴があがって、ヤクザが校舎に侵入してきただの、殺し屋が誰それの命を狙いに来ただの。

ちょっとした騒ぎになりながらも、なんとか教室にたどり着くことができた。



「次、勝手にどこかに行ったら、強制シャットダウンするから」

「うるせえなあ。わーったよ」


わたしは教室の後ろのほうにある自分の席について、となりの席にアンドロイドを座らせた。

頭の上で手を組んで、椅子をぎいぎい揺らしているその姿をクラスメイトは遠巻きに眺めている。



「失敗した」

「お前、いつもこんな動物園のパンダみてえな扱いなのか?」

「パンダはどっちだと思う」

「俺か」

「失敗した」


もう一度つぶやいて、うなだれるように机に顔を伏せる。


そりゃあそうなるよね。この見た目だもんね。

少しでも期待した自分がバカみたいだった。


心なしかいつもよりもずっと周りに人がいない気がする。

このまま誰も話しかけてきてくれないまま、1日が終わるのかもしれないと思った。


そのときだった、前の席に誰かが座る気配がしたのは。


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