ブルー・ロマン・アイロニー
進学校といったって、お昼やすみはどこも同じだと思う。
ざわざわと騒がしい廊下では、わたしがひとりでいても誰も気に留めない。
こうして見ると、校内は思った以上に多くのアンドロイドで溢れかえっていた。
人間とアンドロイド、どっちの学校なんだかわからなくなっちゃいそう。
「……いろんなことを知りたい、か」
現在この世に流通しているアンドロイドはこれ以上学ばない。
すでに学習機能は最大限の状態にあった。
だからいくら物珍しいものを見つけたとしたって、それはデータベースに登録済み。
最初から知っているのも同然なのだ。
なぜ、アンドロイドに未発達の学習機能が付与されないのか。
それは危険だからだ。
AIはすでに人間の知能を越えている。
学習型にすると、そのアンドロイドがなにを学び、どんな行動するのかすべてを把握できない。
人間の知能では理解できないのだ。
だから人間たちはセーブして人工知能システムに制限をかけた。
これ以上、アンドロイドが人間を越えないように。
人間に危害を及ぼさないように。
わたしたちの社会を守るために。
学習型のアンドロイドはすべて製造中止され、すでに出回っていた個体も回収された。
我が子のように可愛がっていたそれを回収された人たちはどんな思いだったんだろう。