恋人は幽霊
電車を降りて会社に向かって歩いていると、「車両移って正解だっただろ」陸がにやけながら夢香に話しかける。
「ええ、そうね。教えてくれてありがとう」夢香は陸にお礼を言った。
会社に着いておはようございますと言って自分のデスクに座る。
「佐々木さんおはよう、今日新しくまわる企業の書類ね」
所長の河原が資料をデスクに置いて戻った。
佐々木とは夢香の名字。
離婚して名字は旧姓に戻していない。
色々と手続きが面倒だからだ。
職場の上司には離婚したことを伝えてあるが、多分みんなに知れ渡っているだろう。
「君って仕事できるんだね」
「ちょっと!ここで話しかけるのはやめて」
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