恋人は幽霊
「私にはあなたが、あ、陸が幽霊だなんて思えないんだけど」
「そうか、嬉しいよ」
陸は夢香の手を自分のパーカーのポケットへ入れた。
「今日は少し肌寒いね」
陸が言うことに夢香はうなづいた。
陸に手を繋がれて、ポケットの中へ手を入れられて、夢香は人としての温もりを感じていた。
「あと少し」
陸に言われて、公園の奥の方まで歩いて来ていた。
人の数もだんだん少なくなり、やがて周りには誰もいない夢香と陸の2人きりになった。
「あそこに大きな木があるだろ、そのすぐ近くにベンチがあるんだ」
大きな木の周りには、色んな花が咲いている。
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