自信家幼なじみが隠すもの
……だけど、今は現実を知っているから。
“幼なじみだから”ってだけで付き合ってくれている大和くんが、私のことを好きなはずがないってわかっているから。
「……頑張るね」
すぐに冷静さを取り戻して、へらりと笑う。
はっきりしない私の返事に苛立ったのか、眉根を寄せた大和くんにほっぺをぐにゃりと潰されたけど。
なんでもお見通しの大和くんの前では取り繕うだけ無駄なのだ。
「頑固者」
「ほっひは」
「……どっちもだな」
ふっと破顔した大和くんは穏やかな表情を保ちながら私を解放する。
面白そうに小さく息を漏らす大和くんを見ているだけで私も楽しくなってきて、つられてころころ笑った。
ひとしきり笑って緩やかに波が引いてきた頃、大和くんが話を終着点に導く。
「まぁ、今度から買い物は一緒に行く。これ決定事項な」
「で、でも……!」
「約束」
今では考えられないくらいの大声でびゃーびゃー泣いていた私に、騎士様のような誓いを立ててくれた幼い日の大和くん。
泣いている私の痛みを我慢するように奥歯を噛みしめ、小指を立てて差し出してくれた。
そして今、同じように目の前に差し出されたそれは私の指が絡むのを静かに待っている。
決定事項って押しが強いくせに、最後は私が受け入れるのを待ってくれるんだ。
そういうところがずるくて、敵わない。