自信家幼なじみが隠すもの



「わかった。でも、無理はしなくていいからね。用事があるときは遠慮なく言って」

「桃が最優先だから意地でも行く」

「……ありがとう」


 俯いたままに伝えた感謝は届いたか、熱に溶けたか。


 強く結ばれる小指同士は目に見えて固く繋がっている。


 大和くんの言葉も嬉しくて、口元の緩みを抑えられない自分がいる。


 大和くんは10年も前の約束を守り続けるほどに責任感のある人で、そんな大和くんが私を最優先だと言ったらそれは当然のように果たされるものだ。


 だからこそ、彼を縛り付けてしまう自分に嫌気が募っていくのだけど。


「照れてんの?」

「知らない」

「ツンタイムか」

「そんなのじゃないよ」

「じゃあ顔上げてみ?」

「やだ」


 私の表情を確かめたい大和くんから逃げ続けていると、大和くんが置いたスーパーの袋が視界の端に映った。


 入道雲を連想させる真っ白。


 その中でバランスを崩したものたちが音を立て、ちょうどよく大和くんの注意を引いてくれた。


 赤面の中に混ざった涙は絶対に見られたくない。見られずに済んで良かった……。



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