自信家幼なじみが隠すもの



「ほら、買ったものを冷蔵庫にしまわないと」

「だなー。って、そういや弁当すっげー美味かった。ありがとな」

「そう言ってもらえたところ心苦しいけど、明日は大和くんの嫌いなピーマンも入れる予定だよ」

「げっ……なるべく入れないように検討してくれたりする?」

「ダメ。決定事項だもん」


 冷蔵庫へ向かう途中、私は大和くんへ処分を下した。


 さっき押しに負けたから、些細な仕返しくらいは許されるでしょ……?


 得意なものばかりの大和くんが珍しく苦手なピーマン。


 ポーカーフェイスも得意とする大和くんは、給食やお弁当の中にピーマンが入っていても何食わぬ顔をして飲み込む。


 私だけが知ってる大和くんの弱点。


 小さい頃に大和くんから教えてもらった、大和くんの秘密だ。


 性格の悪い私がひっそりと悪だくみを考えていると、


「いっ……」


 パチっと。


 私の額で弾けるような音がした。むしろ、弾けたかと思った。


 私だけに見せるピーマンを食べたときと同じ顔をした大和くんは、私の前に回り込んでデコピンという実力行使に走ったらしい。


 こんこんぎつねのポーズに近い形が私の頭上に影を落としたままだ。



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