自信家幼なじみが隠すもの
「うぅ……」
うめき声しか出ないほどに痛い。地味にすごく痛い。
……ピーマン増量キャンペーンを開催しちゃおう。そうしよう。
袋から顔を覗かせるピーマンを見つめて決意を固めた。
到底口には出せないけれど。
「考えてることバレバレだぞ?」
「気のせいじゃないかな……?」
「とぼけたって無駄だっつーの。思いっきり顔にやけてたし」
「……気のせいだよ」
「弁当で復讐なんてせこいんだよ。俺が残せねーのわかってるくせに」
思い返せば、大和くんが私の作ったものを残した記憶はどこにもない。
私が初めてフライパンを持った日には身体に悪そうな黒焦げの食べ物がお皿にのっかっていたし、初めてのお菓子作りのときには食べるのに苦戦する固さの石みたいなクッキーが出来上がった。
“料理は慣れ”って言葉は正しいようで今となっては大和くんに胸張って出せるレベルまで上達したけど。
自分でも食べたくないあれらを一度も残したことのない大和くんはやっぱり人間じゃないのかもしれない……。