自信家幼なじみが隠すもの



「っだー! 寒気がする!」

「自信のない大和なんて大和じゃねー!」


 わーわーと騒ぎ出す俺の秘密の共有者たち。


 わざと俺を煽って背中を押してくれているのかもしれない。でも。


「好きすぎるからこそ自信がなくなるんだっつーの」


 小さく転がした情けない本音は、ガンガンに仕事をしているエアコンの音が掻き消してくれた。



◇ ◇ ◇



 同居を始めてから、2人の時間は自然と増えた。


 有言実行をしてくれた大和くんと数日おきに買い物へ行って、2人で話し合って献立を決める。


 大和くんは友達と遊ぶ予定があるときも、私と買い物を済ませた後に合流しているらしい。


 そこまでしてもらって申し訳ないのと純粋に嬉しい気持ちが混ざって、中途半端に文句を言ってしまったら、


『俺が桃といたいだけ』


 真顔でそんな甘い一言を返されて私の撃沈に終わったのだけど。


 大和くんがやたら直球で、どんどん沼にハマっていく感じがして恐ろしい。


 抜け出さなきゃいけなくなったときに抜け出せなかったらどうしよう……。


 そんな思いから気づかれないようにちょっとだけ大和くんを避け気味だ。


 ……まぁ、効果はあまりないかもしれない。



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