自信家幼なじみが隠すもの
……私の彼氏はどうしてこんなにかっこいいんだろう。
健康的な色をした、でも透明感のある肌へと吸い込まれるように私の手が伸びたとき。
―――ぐいっ
「わっ!」
布団から伸びてきた手が私の手を正確に捕らえ、そのまま中へ引き込んだ。
彼の胸の中に飛び込んだことで匂いが濃くなり、心臓が痛いほどに加速する。
「初日から寝込みを襲うとか、桃って意外と大胆なんだな」
「ち、違うよ……!」
「なんだ、残念。せっかく桃で遊べると思ったのに」
耳に届くのは愉快そうに転がる声。
伝わってくるのは私の熱を和らげるような彼の体温。
緩く囲まれた腕は久しぶりで、与えられる全てが貴重なもので。
こんなの、抜け出せない。全身で大和くんに抱きしめられてるみたいだもん……。
「……桃?大丈夫か??」
ふにゃりと力が抜けた私を心配する声が聞こえたけど、返答する余裕が私にはない。
大和くんのお父さん、お母さん。
私にあなたのお子さんのお嫁さん役なんて、やっぱり務まりそうにありません……。