自信家幼なじみが隠すもの
「イヤリング……?」
夕飯を食べ終え、大和くんがお風呂に入っている間のこと。
大和くんのお部屋を掃除しようとベッドの下に掃除機を潜り込ませたときにぶつかったそれ。
私の趣味じゃないそれは大き目の赤いチャームで、こちらをギロリと睨んでいた。
どうしてこんなものが大和くんの部屋にあるの……?
先週掃除したときにはなかったはずだし、大和くんにはお姉さんも妹さんもいないからお母さんもいない今、ここに来る女の子は私しかいないはずなのに。
大和くんにはもっとふさわしい子がいて、いざそのときが来たら潔く身を引こう。
そう決めていたけれど、実際に目の当たりにすると衝撃で身体が動かない。
胸もじくじくと痛み、涙は堪えきれない。
同居してからもっと好きになってしまった。
口に出さなくてもわかってくれるほどに私のことを見守ってくれているところ。
ずっと一緒に居てお互いに馴染んだお互いの異なる空気感。
嫌いになんてなれなくて、離れることもできない。
諦めるなんてできるわけがない。
私は一体これからどうしたらいいの……。
「……桃?」
「や、まとくん……」
背中に降ってきた愛おしい声に、私は涙でぐしゃぐしゃになった顔のまま振り返ってしまったのだった。