自信家幼なじみが隠すもの
なにが桃を苦しめている?
なにが桃を……俺の大切な彼女を傷つけてるんだよ。
怒りに震えながら桃の近くへ寄り添ったとき。
「ここに、女の子を連れ込んだ……?」
涙で濡らした唇から紡がれた問いは、予想をはるかに超えるものだった。
◇ ◇ ◇
「……は?」
とぼけるでもなく誤魔化すでもない。
ただ思考が停止したみたいな反応をした大和くんにひとまず安堵を覚えた。
だけど、私の手の中にあるこれはなんなのかまだわからない。
とりあえず握りしめていた手を開くと、大和くんは軽く目を見開きこれに心当たりがあることを教えてくれた。
……この反応は、黒なのかな。
「そっか」
「違う! この部屋には入れてない!」
「他の部屋には連れ込んだんだね」
「言い方! それに、ちゃんと男友達だって他に何人もいたんだ! 俺の家が一番近いからってことで突然来ただけ!」
別にそんなに必死に弁解しなくてもいいのに。
自分からは言えないし、気持ちを消すのは難しいけれど。
大和くんから別れを切り出されるのなら……もう他の人と付き合うって言うのなら。
私は大人しく黙って従うだけなのに。