自信家幼なじみが隠すもの
どっちにしても、このイヤリングの持ち主は大和くんにとって特別だ。だってその証拠に、
「他の部屋ってことは……私に入るなって禁止してるあの部屋に招いたってことだよね」
「そ、それは……」
「否定しないんだ」
私が入れないとある部屋へと、その女の子を入れたってことだから。
大和くんの隣にある部屋は、初日に大和くんから『この部屋だけは絶対に入らないで』と強く止められていたもので。
入ろうとしたところで大和くんが持っている鍵を使わないとその扉は開かない。
同居してたらいつかは教えてくれるかもしれないって。
大和くんが教えてくれる気になるそのときまで我慢をしていようって。信じてようって。
そう、思ってたのに。
「よっぽどその子が特別なんだね」
どうしようもないほど心が痛くて泣いてるのに、出てきたのは薄い笑いだった。
図星を刺されてぎくりとする大和くんの顔なんて絶対に見たくない。
視界に映ってしまう前に目を背けようといつもの如く地べたと仲良しになろうとした、その瞬間。
「特別なのは桃だけだ!」
苦しそうに顔を歪ませる大和くんが、いつかのときのように両頬を挟んで、逃げるのを許してくれなかった。