自信家幼なじみが隠すもの
……なんで、大和くんがそんなに苦しいそうな顔をするの。
いっそ嫌いになれたらいいのに難しくて、逃げることすらも許してくれない。
息ができないほどに苦しくてたまらないのは私の方なのに。どうして……。
「昔も今も、この先だって。俺の特別は桃だけだ」
「嘘……」
「嘘じゃない。なんで嘘だって思うんだよ」
「だって……」
ダメだよ、止まって。
大和くんは優しいから私が言う不満を受け止めてくれるし、きっと改善もしてくれる。
また大和くんを縛ってしまう。そんなのダメだ。
でも、感情的になった私の口は軽く、勢いはもう止まってはくれなくて。
「だって、他の子に好きって言われても許しちゃうじゃん!」
あぁ、言ってしまった……。
私が心の狭い女だってことがバレちゃうね。
可愛くない上に性格も悪いなんて、さすがの大和くんも愛想つかすんじゃないかな。
「“彼女がいるから可能性はゼロだ”って。“彼女以外を好きになることはない”って。そう言ってくれたらいいじゃん!」
涙でぐしゃぐしゃなのに、さらに嫉妬で醜くなった顔を見られたくない。
大和くんの大きな手で包み込まれた顔はそこから抜け出せず、自分の手で覆って隠すしかなくなる。
目元を見られる心配がなくなったせいか、余計に涙が溢れ出た。