自信家幼なじみが隠すもの
『あんたたち、付き合って2年とちょっとよね?』
『なんで知ってるんだよ』
『進学するとお互いに別の進路だし、すれ違いが増える頃じゃない~』
『そんなことねーし』
『ってことで、立崎家と園田家は明日から一か月、海外旅行に行ってくることにしました~!』
『なにが“ってことで”なんだよ……』
『2人で“仲良く”お留守番をよろしくね』
……なんて言われて始まった、お試し同居1日目の早朝。
一方的に彼のことが好きな私は、早くも心が折れてしまいそうだった。
◇ ◇ ◇
立崎大和。
私が5歳の頃に隣の家に引っ越してきて以来、家族ぐるみで付き合いのある男の子。
幼い頃には人見知りな私を毎日公園へと引きずるように連れ出し、それは思春期になってからも変わらずでインドア派の私を呼び出してはあちこちに連れ回した。
ただの幼なじみだった私たちの関係が発展したきっかけは特段なにかがあったわけでもなくて。
『そろそろちゃんと付き合うか』
『そうだね~』
高校生になる直前の春休み。
魚たちが大きな水槽の中で思い思いに泳いでいるのをのんびりと眺めていたら唐突に切り出されたわけで。
『そろそろ出発するぞ~』
『わかった~』
みたいな、いつも私たちがやってる会話と同じテンションだった。