自信家幼なじみが隠すもの
私を放っておいたら部屋の中に引きこもってじめじめと生活するのがわかっているから、元々の面倒見の良さや幼なじみの義理として一緒に出かけてくれてるのかなって思っていたのだけど。
“そろそろ”とか“ちゃんと”とか……それは前々から私と付き合うことを考えてたみたいな言葉が聞こえてきたから。
『……って、え?』
頭が追い付かなかった私はぽかんと口を開けて固まってしまった。
『なんつーアホ面してんだよ。そんなにおかしいこと言ったか?』
『いえ、なんでもないです……』
対する大和くんはいつもの堂々とした態度と涼しい顔。
“さも当然”と言うようなその顔に、私は言葉の意味を問いただす気が起きなくて。
『ま、付き合うって言っても今までとあんまり変わんねーとは思うけど』
軽く笑った大和くんが半歩分、私へ近づいた。
僅かに空いていた私たちの距離はなくなって、自由だった左手に大和くんの手が絡んだ。
幼なじみの親しさに恋人らしさが混ざった確かな瞬間だった。
そのときに生まれた大きな自信は、大人になっていくにつれて塵ほどの大きさにまで削られてしまったけども。