【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
一章 悲劇
「尽くす女は捨てられますわよ」
「そうそう……うまい具合に甘えて尽くさせないとね」
「どうしてですか……?」
「そんなの男をダメにしちゃうからに決まっているじゃない」
「え……」
「そして、つけ上がって他の女に目移りしちゃう」
「でも尽くした分、悔しくなって離れられなくなるのよね」
「そうそう……未練がましい女になって」
ーーー捨てられちゃうの
(……そんな事ないわ。フレデリックはそんな人じゃない。絶対に違うもの)
お茶会でそんな会話を聞きながら、苦い笑みを浮かべていた。
紅茶を持つ手が、僅かに震えてしまうのを必死に押さえ込んでいた。
(違う……彼は大丈夫)
そう言い聞かせてから大きく息を吐き出した。
まるで、自分の事を言われているようだと思った。
スッと心が冷えていくのを感じながら、熱い紅茶が唇に触れてカップを離す。
「……っ」
その時は、そんな話は嘘だと思っていた。
自分の婚約者はとても優しくて、いつも「ありがとう」と言って笑ってくれる。
(フレデリックは……違う)
でも心の何処かでは、気付かないフリをしていたのかもしれない。
「そうそう……うまい具合に甘えて尽くさせないとね」
「どうしてですか……?」
「そんなの男をダメにしちゃうからに決まっているじゃない」
「え……」
「そして、つけ上がって他の女に目移りしちゃう」
「でも尽くした分、悔しくなって離れられなくなるのよね」
「そうそう……未練がましい女になって」
ーーー捨てられちゃうの
(……そんな事ないわ。フレデリックはそんな人じゃない。絶対に違うもの)
お茶会でそんな会話を聞きながら、苦い笑みを浮かべていた。
紅茶を持つ手が、僅かに震えてしまうのを必死に押さえ込んでいた。
(違う……彼は大丈夫)
そう言い聞かせてから大きく息を吐き出した。
まるで、自分の事を言われているようだと思った。
スッと心が冷えていくのを感じながら、熱い紅茶が唇に触れてカップを離す。
「……っ」
その時は、そんな話は嘘だと思っていた。
自分の婚約者はとても優しくて、いつも「ありがとう」と言って笑ってくれる。
(フレデリックは……違う)
でも心の何処かでは、気付かないフリをしていたのかもしれない。