【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
(フレデリックside)


薔薇の香り、派手な化粧、毒々しい色のドレス……会う度、会う度、どんどんと彼女が嫌いになっていく。


「あり得ないのよ!!あの女……ッブスの癖に」

「…………」

「たかが婚約者が侯爵家の令息ってだけで、偉そうにしてっ……!」

「…………」

「わたくしを見下したように見てたのよ!?絶対に許さないんだからッ」


悪口、妬み、罵り……嫌悪感に吐き気を覚えていた。
聞こえる声はまるで毒のように体を蝕んでいく。

ジャネットと婚約して暫く経つが、こんなにも人と一緒にいる事が苦痛に思ったのは初めてだった。

彼女の本当の姿を垣間見る度に、夢から醒めていく。

最近は頭痛も胃痛も酷くなるばかりで、顔を見るだけで最悪な気分になっていた。
気分は落ちていくばかりで、あまりの酷さに食欲を失っていた。

デイナント邸に呼び出されては、こうして吐き出されるストレスを強制的に聞かされる日々。
こんなに華やかで社交界を騒がせていた彼女に、今まで婚約者が出来なかった理由が理解出来た所で、もう手遅れだった。

それでも此方の都合など関係ないというように、ジャネットはずっと喋り続けていた。

< 115 / 215 >

この作品をシェア

pagetop