【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
「ねぇ!!聞いてるの!?」

「…………あぁ」

「それに貴方のせいでもあるのよ!?もっと身なりに気を遣ってよッ!!わたくしの隣に立つのに全然相応しくないわ」

「……っ!」

「馬鹿にされて恥ずかしくないの!?地味過ぎるのよ……!髪型も服も直してって言ったわよね!?ただでさえ伯爵家の令息ってだけでも最悪なのに」


なんの悪びれもなく此方を馬鹿にする彼女の態度に苛立ちが募っていくばかりだ。
こんなにも暴言を吐き散らされても黙っているのは、耐えるしか道が無いと分かっているからだ。

いつもは歓迎してくれていたデイナント子爵夫人は全くと言っていい程、顔を出さなくなってしまった。
その理由も分かっているつもりだったが、あらかさまな態度に悲しいを通り越して苛立ってしまう。

(……ッ、ジャネットを止めてくれよ!!)

あんなにも居心地の良かった子爵邸も、息が詰まるような苦痛な時間に変わり、早く帰りたいと思うばかりだ。

ジャネットは自分の思い通りにならなければ直ぐに癇癪を起こす。
此方が折れるか、自分が納得するまで攻撃は止まる事を知らない。
言い返したら最後、泣き喚きながら文句を吐き続けるのだ。

(もう、勘弁してくれ……!)

最近では攻撃の矛先が身なりや家柄になり、自分を棚に上げて言いたい放題である。
何故、自分がこんな思いをしなきゃいけないのか……我慢する日々に嫌気がさしていた。
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