【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
ウェンディとあんなにも長く続いた関係は、ジャネットとは半年と持たずに破綻してしまった。
我儘で浪費家、気に入らないと癇癪を起こして周囲に八つ当たりをする。
常に文句を吐き散らす彼女はニルセーナ伯爵邸でも評判は悪く「ウェンディ様の時はこんな事はなかった」「ウェンディ様の方がいい」と言われていた。
(我慢の限界だ……同じ姉妹で何でこんなに違うんだよっ!)
以前の彼女は華やかで眩しくて、まるで高嶺の花のように手の届かない存在だった。
「明日も話したい事があるから来て」
「新しいドレスが欲しい」
「わたくしに、もっと愛していると言って」
平気で無理難題を押し付けてくるジャネットに驚きはあったが、初めは仕方ないと我儘に付き合っていた。
けれど、もう限界は近付いていた。
ジャネットと関わって分かった事は兎に角、ウェンディとは真逆だという事だ。
ウェンディは物を強請らなかった。
ウェンディは文句を言わなかった。
ウェンディは場を弁えていた。
ウェンディは此方の都合をいつも優先してくれていた。
どうしてこんな事になってしまったのか……暗闇に覆われていた。
再びウェンディと婚約者に戻りたくても、彼女は嫁いで『結婚』してしまった。
取り戻そうとしても、手が届かない場所に居る。