【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
パーティーで思い出したのだが、ゼルナはパーティーでは必ず仮面を付けていた。
しかし、この家で仮面を付けているところを見た事がない。
その代わりに羊のようなモシャモシャした前髪で目元は見えないが……。
 
(そういえば……何故、仮面をつけてパーティーに出ていたのかしら)

髪が風で流れてチラリと目元を見たことがあるが、醜い訳でもなく、傷を隠している様子もなかった。
何か他の理由があるのかと考え込んでいると……。


「なら、新しいドレスを買いに行かないとね……!」

「新しい、ドレス……?」

「僕はいつもの店を予約してくるよ!楽しみだな……ウェンディに似合うドレスがいっぱいありそうだ」

「……あの、ゼルナ様!いつもの店って」


この辺にドレスショップがあるのだろうかと不思議に思っていたが……ゼルナの言葉に衝撃を受ける事となる。


「タイミングもいいし、そろそろ本邸へ戻ろうか。三日後には発つから必要な荷物を纏めておいてね」

「えっ!?三日後……!?本邸…………?」

「……?」

「つまり…………ここは別邸!?」

「ははっ、そうだよ」


言葉の意味を上手く咀嚼出来ずに固まっていると、クスクスと笑いながらゼルナが説明をしてくれた。

ここは別邸であり、社交シーズンになると数ヶ月間だけ本邸に戻るのだそうだ。
オンオフをはっきりとつけたいマルカン辺境伯とゼルナの希望である。

今更ながら、衝撃の事実に呆然としていた。
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