【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
「どうぞ、此方へ」

「ウェンディ様に会えるのを皆、とても楽しみにしておりました」

「あ……ありがとうございます」


侍女達と話しながらキョロキョロと辺りを見回していた。
外観だけでなく、内観も豪華絢爛である。

(まるでお城みたい……!あの壺……とても高そう)

そんな事を考えていると……。


「ウェンディ様……!ウェンディ様」

「……はい!?」

「此方が本邸に滞在している間のお部屋にございます」

「…………!」

「どうぞ、此方に」

「寝室はドアを隔てた隣のお部屋です」

「わぁ……」


広い部屋にポカンとしていた。
キョロキョロと辺りを見回していると、風のような速さで動いている侍女達が目に入る。
その動きは隙がなく徹底されている。
目で追ってしまうのは自分も、こう動けたらと思うからだろうか。


「まずはお身体を温めましょうね」

「その後はお体のマッサージです」

「その後はお肌の手入れを致しましょう」

「その後は髪を艶々に致しましょうね」

「手や足、爪の手入れも任せて下さいませ」

「あ、あの………!?」


何故だかとても嬉しそうな侍女達にされるがまま体を預けていた。
あまりの心地よさに緊張で強張っていた体から力が抜けていく。

(幸せ……気持ちいい)

今までは自分の事は全て自分でしていが、今度は百八十度逆で、全て任せきりである。
あっという間に全身は磨かれてピカピカになっていく。
寝衣に着替えて、鏡の前に映る自分の姿を見てピタリと動きを止めた。
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