【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
(……………え、誰?)
先程まではただの村娘だったのに、今は貴族の御令嬢に見える。
激しい変化に脳が追いついていかない。
「本日はゆっくり休んで下さいませ」
鏡の前の自分が別人過ぎて眉を顰めていると、軽食と紅茶が運ばれてくる。
他の侍女達とは明らかに違う貫禄のある雰囲気とピンと背筋の伸びた女性が部屋に入ってきたのと同時に侍女達は頭を下げて去っていく。
「お疲れ様です。ウェンディ様」
「ありがとうございます」
「これからは毎日、磨いていきましょうね」
「毎日ですか!?」
「勿論ですわ」
「えっと……お手柔らかにお願い致します」
「このハーナにお任せ下さい!姉から色々と伺っておりますわ」
「……!まさかマーサさんの」
「妹のハーナと申します。心配事がありましたら何でも相談して下さいね」
「ありがとうございます……!」
安心感にホッと息を吐き出した。
おっとりとしているマーサとは違ってハキハキしているが、笑い方がよく似ている。
軽食を食べながらハーナと、なごやかに談笑していた。
体も温まり、お腹も一杯になると眠気が襲ってくる。
ハーナに休むように促されるものの、姿が見えないゼルナの事が気になっていた。