【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
デイナント子爵家には、アルフという歳の離れた弟がいた。
この家を継ぐ必要もない為、急いで嫁ぎ先を探さなければならない。

そして母は、少しでもいい嫁ぎ先に巡り会えるようにと必死で色んな家を駆け回ってくれた。

しかし年齢的にも、条件的にも……とても厳しいものだった。

婚約者が居なくなったからか、何通か結婚の打診は来たものの、どれも喜んで返事を出来るような条件ではなかった。
そもそもどんな条件の良い手紙を受け取ったとしても、そんな気分にはなれないだろう。

心は悲しみに満ちているのに、タイムリミットが迫っている為、感傷に浸る暇すら与えられない。

追い打ちをかけるように社交界には心ない噂が広がっていた。

"フレデリックとジャネットは、真実の愛で結ばれた"
"二人は愛し合っていたが、ずっと妹のウェンディが邪魔をしていた"
"ウェンディだけがフレデリックが好きで愛されていなかった"

いつの間にか悪者は寝取った"ジャネット"ではなく"ウェンディ"になっていた。

恐らく、全て姉の仕業だろうと思った。
しかし証拠もない為、責める事も咎める事も出来なかった。
問い詰めたとしても「違うけど?」と言い張り、嫌味で返してくるだけだろう。
怒りはあるものの、こうまでして自分が上に立ちたいのかと思うと、そのプライドの高さが哀れに思えた。
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