【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
「あの、ゼルナ様は……」
「本日、ゼルナ様は別のお部屋でお休みになります。明日からは同室になると思います」
「そう、ですか……」
「ふふ、ウェンディ様が寂しがっておりましたとお伝えしておきますね」
「えっと……それは」
嬉しそうなハーナの表情を見て頬を赤くする。
ゼルナは屋敷に帰ってから、とても忙しそうにしていた。
(ゼルナ様が居ないと……やっぱり寂しい。今日一日だけって分かっているのに……)
最近はゼルナと手を繋いで寝ることが日課だった為、こんなに広いベッドに一人で寝るとなると、やはり寂しさを感じてしまう。
(私が"寂しい"なんて言ったら……優しいゼルナ様は気に掛けて下さる)
いつもならば「平気です」「大丈夫です」と誤魔化していただろう。
人に迷惑を掛けるくらいならば、気持ちを胸にしまっておいた方がいい……ずっとそう思っていた。
しかし、思い出すのはゼルナの温かい言葉だ。
『甘えてくれないから少し寂しいよ』
ぐっと軽く唇を噛んだ後に「ちょっと待ってて下さい」とハーナに声を掛ける。
テーブルにあったメモを手に取り書き込んでいく。