【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
ゼルナは変わり者、乱暴者、人見知り……様々な噂が飛び交っている一方で、絶世の美男子、美形と囁かれるなど、いまいちよく分からない人物である。
そして、いつも一人でぽつんと佇んでいては、フッと何処かに消えてしまう。
「私は辺境の地へ……ゼルナ様の元に嫁ごうと思います」
そう言うと、母は慌てた様子で首を横に振った。
「それに、もし私を受け入れて下さったら……デイナント子爵家の為にもなりますから」
「ウェンディ、貴女……!」
何故ゼルナを選んだのか。
この屋敷から……二人からなるべく離れた場所に行きたかったからだ。
辺境伯と繋がれたらデイナント子爵家の為になるから。
それは上部だけの理由に過ぎない。
二人が共に笑い合う姿を平気で見れる程、心が強くない。
想像するだけで胸が痛んだ。
これ以上、根も歯もない噂に振り回されて好奇な視線に晒されたくはなかった。
(此処から、早く立ち去りたい……)
そんな理由から真っ黒な封筒を握りしめていた。
何も知らなくても、酷い目にあっても、嫁ぎ先からどれだけ冷遇を受けようとも……此処で過ごすよりマシだと思った。
(辺境の地で二人と顔を合わせる事なく過ごせたのなら、それでいい)
そして、いつも一人でぽつんと佇んでいては、フッと何処かに消えてしまう。
「私は辺境の地へ……ゼルナ様の元に嫁ごうと思います」
そう言うと、母は慌てた様子で首を横に振った。
「それに、もし私を受け入れて下さったら……デイナント子爵家の為にもなりますから」
「ウェンディ、貴女……!」
何故ゼルナを選んだのか。
この屋敷から……二人からなるべく離れた場所に行きたかったからだ。
辺境伯と繋がれたらデイナント子爵家の為になるから。
それは上部だけの理由に過ぎない。
二人が共に笑い合う姿を平気で見れる程、心が強くない。
想像するだけで胸が痛んだ。
これ以上、根も歯もない噂に振り回されて好奇な視線に晒されたくはなかった。
(此処から、早く立ち去りたい……)
そんな理由から真っ黒な封筒を握りしめていた。
何も知らなくても、酷い目にあっても、嫁ぎ先からどれだけ冷遇を受けようとも……此処で過ごすよりマシだと思った。
(辺境の地で二人と顔を合わせる事なく過ごせたのなら、それでいい)