【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
(どうして!?なんで、わたくしだけこんな事になっているのよ?)
そして辺境という何もないド田舎に嫁いで、仮面を付けている不気味な訳あり令息に嫁いだ筈のウェンディは何故不幸になっていないのか……。
(気に入らないわ……あれがいつも仮面を付けていたゼルナの素顔だというの!?噂と全然違うじゃない!!どう見たって今までの令息達よりも美しくて綺麗で……!!そんな方にウェンディが釣り合う筈ないでしょう?)
「ジャネット?」
「なに………ウ……ッに!!」
「え……?」
「何よ、ウェンディのくせにッ!ウェンディのくせにっ!!!!」
「……!?」
「絶対に許さない、ウェンディのくせにわたくしに頭を下げさせるなんて……っ」
あまりの腹立たしさに手に力が篭る。
馬車の中の装飾がバキバキと音を立てた。
伯爵家の馬車は古くて狭いのに、隣に停めてあるマルカン辺境伯の馬車……ウェンディの乗ってきたものは豪華で広々としている。
まるで格の違いを見せつけられているようだった。
髪も艶があり、上品なドレスを纏い、普通なら入ることすら叶わない予約制の超一流のドレスショップに入っていく後ろ姿が頭に焼き付いていた。
先程も、見目麗しいゼルナの背後に隠れて様子を窺っているウェンディの姿を見て、苛立ちで頭がおかしくなりそうだった。
(あんなに美しくて家柄も兼ね備えているゼルナ様の隣に立つのに相応しいのは明らかにわたくしの方でしょう!?)