【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
「はい……ゼルナ様の端正なお顔は見慣れるまで時間が掛かりそうです」
「大丈夫だよ、ウェンディ!毎晩、一緒だから直ぐに見慣れるさ」
「もう……!ふふっ、そうですね」
「容姿が変わっても僕は以前と変わらないよ」
「はい……でもゼルナ様のせいで心臓が飛び出しそうです……ほら、触ってみて下さい」
バクバクとすごい音で鳴る鼓動を聞かせようとゼルナの手を胸元に誘導する。
「うふふっ、どうですか……?すごい音でしょう?」
「…………」
「あの、ゼルナ様……?」
急に顔が真っ赤になって俯くゼルナを見て首を傾げていると、今度はゼルナに腕を引かれて体にもたれるように倒れ込む。
「ゼ、ゼルナ様……!?」
「ウェンディは気にしてないかもしれないけど、僕は……今までずっと我慢してきたんだよ?」
「え……?」
丁度ゼルナの胸元に顔を寄せる形になっている為、心臓の音が大きく響いていた。
顔を上げると、そこには真剣な表情で此方を見るゼルナの姿があった。
目を逸らす事が出来ずに、ずっと見つめ合っていた。
綺麗な瞳は揺れていて、熱い吐息が漏れている。
「………ウェンディ」
優しい声にそっと瞼を閉じた。
柔らかい感触……すぐ側にゼルナの体温を感じて、背に回される手に安心していた。
ゼルナが上から覆い被さるようにして倒れ込む。
その後に、何度も何度もキスを繰り返した。
身を任せるまま、夜は更けていった。