【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
追い越されるのが嫌いな姉の事だ。
先に結婚したと知れば悔しがる事だろう。

それに結婚してしまえば、もう愛人を作ろうと浮気されようと簡単に奪われる事はない。

フレデリックとジャネットも、事が落ち着いたら結婚式を挙げるのだろう。
その前に結婚してしまえばいい。

それに自分の立場を守る為や何も言わずに噂を払拭する為にはこの方法が最善だと思った。

フレデリックに"お前に未練など無い"のだと、簡単に結婚出来てしまうほどに、どうでもいい存在だったと見せつけてやればいい。

彼はこの事を聞いて、どう思うだろうか。

(何も思う訳ないわよね……)

たとえ自分の描いていた幸せとは違っても、姉の思い通りにさせたくはないと思った。
せめてもの嫌がらせだろうか……。

それが自分が考えついた唯一の復讐方法と言えるだろう。

けれど本音を言ってしまえばもう二度と、裏切られたくない。
ゼルナを利用する形になるが、この条件を飲み込めば、少しは前に進めると思った。

マルカン領は王都からも遠く、ジャネットとフレデリックの姿を見たくない自分にとっては持って来いだった。
二人を見ていると憎しみしか湧いて出てこないからだ。

真っ黒な封筒を手に取ってから、不安そうな母を説得した。
それから父の元に向かった。

ジャネットに"売れ残り"にされてしまったウェンディは"訳あり"令息であるマルカン辺境伯のゼルナの元に嫁ぐ事になったのだった。


ーーこの選択が、運命を大きく変えるとも知らずに

< 18 / 215 >

この作品をシェア

pagetop