【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
むくれるウェンディに「そう……分かったわ」と一言だけ言って部屋を去った。
「変なお姉様」と、ウェンディは不思議そうに首を傾げていたが、そんな事はどうでもよくなるくらい苛立っていた。
自室に帰って、怒鳴りつけながら侍女を部屋から追い出した。
それでも気持ちは治らない。
何度も何度もクッションを殴りつけて、部屋にあるものを放り投げた。
(ーーどうして!?ねぇ!!なんでウェンディばっかり幸せそうなの!?あんな地味な男と婚約出来たくらいで、幸せそうに笑ってんじゃないわよ!!)
ぐっと歯を食いしばる。
(わたくしは絶対に王族と結婚してみせる……!どんな手を使っても必ずね)
この国には第一王子と第二王子がいる。
まだ何方も婚約者は居ない。
候補者は何人かいるようだが、伯爵家の自分にとっては明らかに不利だろう。
だが、それでこそ自分の凄さが際立つのではないだろうか。
(なら……誰よりも目立てばいいのよ!向こうから声を掛けられるくらいにね!!)
そこからは必死で食らいついていた。
お茶会に出ては、王子達の情報を掻き集めた。
王子達が出席するパーティーやお茶会には全部参加した。
近付いてくる令息は利用出来るだけ利用して、用がなくなったら塵のように捨てた。