【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
けれど、捨てても捨てても山のようにくる結婚の申込み。
(わたくしは絶対にやり遂げてみせるわ……!)
そんな日々を送っていると、父はドレスを買うのを渋り、母は「いい加減にしなさい」と口煩くなっていった。
それでも父に「わたくしが有益な繋がりを持ってくる」と言うと、ため息を吐きながらではあるが、お金を出してくれた。
母とは昔から考え方が合わなかった。
そしてウェンディとフレデリックのような関係をいつも褒めていた。
しかし、そんな母を馬鹿にしていた。
そんな事ばかり言っているから父は愛人をつくり、外に逃げているのだと思っていた。
愛されもしないのに必死に父の仕事を手伝いながら、屋敷の管理をして働いている姿が惨めに映った。
そんな下らない努力が報われるとは、とても思えなかった。
(そんな甘い幻想ばかり抱いているから、お父様に愛想を尽かされるのよ……!)
本人達は隠しているつもりなのだろうが、社交界に出るようになれば自然と耳に入ってくる。
父の愛人は地味な母とは違い、とても華がある美しい人らしい。
最近は、そんな母を煩わしく思っていた。
しかし、それよりも目障りなものがあった。