姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
徐々に婚約者と共にパーティーに出席する令嬢達が増えてきた。
いつも一緒にいるグループの中で、一人だけ婚約者が居なかっだことに焦りを感じていた。
あんなにも「王子が、王子が」と言っていた癖に、手のひらを返したように他の令息と婚約したのだ。

(信じられない……プライドがないのかしら)

「ジャネットも、そろそろ現実を見たら?」
「そんな事ばかりしていたら売れ残っちゃうわよ?」

そんな言葉に悔しくなって啖呵を切った。

「貴女達にプライドはないの?」
「わたくしが王子と結婚したらどうなるか分かってるんでしょうね?」

尚も王族と結婚しようとするのを裏で嘲笑っているのは知っていた。

絶対に成し遂げてみせる。
そう決意して動いても空回りするばかりだった。

後ろでは「売れ残りよ」と囁くような声が聞こえた。
その瞬間、自分に向けられる視線が変わったのだと肌で感じた。

もしかしたら……そんな思考が頭をよぎる。

けれど周囲からどんどんと追い抜かれていく事に今までにない焦りを感じていた。

(どうして……!?なんで上手くいかないの)
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