【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
しかし実際にゼルナが武術をしているところを見た者は居ない。
結局それも噂だけで、真意はよく分からないのだ。

極度な人見知りで、それ故に仮面を外せない。
喧嘩をし過ぎて傷だらけ、顔が醜いから、火傷をしている……様々な噂が飛び交い過ぎて何が真実かは分からない。

見た目がどうこう言うつもりはないが、折角夫婦になるのだから良い関係を築きたいと思うのは自然な事だろう。

しかし幼い頃からフレデリックしか知らない自分が、上手く出来るのか今になって不安が押し寄せてくる。

それに、否定したくとも、まだフレデリックに対しての気持ちが残っていた。

あれだけ長い間、人生を捧げてきたのだ。
簡単に全て捨てられるわけがない。
それがまた悔しくて堪らない。

勢いで結婚したものの、本当は心細くて不安で仕方がなかった。

顔も遠くで見た事あるかどうかくらい。
会話も殆どした事もなく、どんな人なのかも知らない。
ゼルナだってそれは同じ筈なのにアッサリと結婚を了承したのは本当に不思議だった。

(きっと相当な変わり者なのよ……!じゃなければ婚約破棄されたばかりの令嬢を理由も聞かずに娶るはずないじゃない)

なるべくゼルナの手紙に書いてあった条件は飲むつもりでいるが、それが満たせなかった場合はすぐに離縁されてしまうのだろうか。
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